ルール
・一人称、語尾変OK
・使用の際には下にコメントを残していただき、使用先で
「(台本のタイトル)」
「まつかほの台本」(もしくは「作者まつかほ」)を明記してください。
このホームページのURLも併記してくださると嬉しいです。
・コメント欄に使用場所を明記(リンク等を貼って)くださると僕も聞きに行けるので助かります!
・BGMはご自由につけていただいて構いませんが、BGM作者様がいる場合には許可を取ってからつけてください。
・読めない漢字はご自分でお調べください。
登場人物
◆
(できれば女性。少女設定ですが、掛け合い相手によって声、性別を変えるのもアリ。)
以下特に指定無し、兼役可
◇
◯
△
▲
※読みのイントネーション
碧の君→あおのき↑み↓
◇いいかい?月がスマラカタ色に光る晩は、決して海に行ってはいけないよ。
◆どうして?
◇「碧(あお)の君」に連れ去られてしまうからさ。連れ去られた者は2度と戻っては来ない。
◆「あおのきみ」って?
◇さぁねぇ。言い伝えによると、ある森の奥深くに1人で住む悪魔で、寂しさを紛らわす為に迷子(まよいご)を連れ去りおもちゃにする…と言われているよ。
◆森?海じゃなくて?
◇碧の君が住む場所にはこんこんと水が湧く泉があって、その泉は海へ繋がっているんだそうだ。
◆ふーん。じゃあ月がスマラカタ色になるのは…。
◇その泉の色とも、その森の色とも言われている。とにかく、碧の君がやってくる時は月がスマラカタ色に変わる。
◆見たことがあるの?
◇……一度だけ。子供の時に。その時、大事な人が居なくなったんだ。
◆碧の君に会ったの?
◇いいや。…情けないことに怖くて家で震えていたよ。そして次の日、私の幼馴染みが居なくなった。大騒ぎになってねぇ。みんなで探し回ったけど…見つからなかった。憎く思う時もあったが、幼い頃から本当の姉妹のように仲が良かったのに…。今、どこでどうしているのかもわからない。
◆会ってみたいけどな、碧の君とやらに。
◇旅人ってのは物好きな人が多いからね。でも、いつ碧の君がこちらに来るかなんて誰にもわからないよ。
◆それじゃ、しばらくここで暮らしてみようかな。物好きな旅人は特に行く宛も無いし。
◇ここには宿なんて洒落たものは無いよ。
◆泊まらせてくれない?その代わり家のことや仕事を手伝うから。
◇…あんたは消えた幼馴染みにそっくりだよ。つい思い出して変なことを話してしまった…。いいよ、泊まっていきな。その代わりうちは裕福じゃないから気持ちの良い寝床なんて無いからね。
◆屋根があるだけで旅人からしたら有難いよ。しばらくお世話になります。
---4秒くらい間を空ける---
◯ねぇ。そこで何をしてるの?
◆ん?見ての通り釣りだよ。今日のおかずを釣ってるの。
◯ふーん。ねぇ、ボクにもやらせて?
◆い、いいけど…はい、どうぞ。
◯ありがと。
◆君、1人でここまで来たの?
◯そうだよ。このくらいなんともないもん。
◆すごいね…親は?
◯居ないよ。
◆え!?じゃあ1人で暮らしてるの?
◯うん。でも別に困らないよ。ここの人みんながボクの家族だから。
◆そうなんだ…。
◯あなた旅人って人なんでしょ?色んな場所に行く人って隣のおばさんに教えてもらったけど、なんでここに来たの?
◆ここに伝わる、碧の君ってのに逢いたくてね。
◯碧の君?女神様のこと?
◆碧の君ってのは女神様のことなの?
◯そうだよ!むかーしむかしからの言い伝えなんだって。
◆そうなんだ。悪魔って聞いて来たんだけど…。
◯悪魔だなんてとんでもない!!旅人さんバチが当たるよ!
◆碧の君はこの村の大事な女神様なんだね。
◯そうだよ!何年かに1回、月がエスメラルド色に光ったら、女神様がボク達の中から1番心が綺麗な人を、住んでいる森に連れて行ってご褒美をくださるの。それはもう帰って来たくなくなるくらい素敵なご褒美なんだって!!
◆へぇー。それは旅人にも適用するのかな。
◯どうかなぁ…。でも、優しい心を持ってればきっと女神様に選んでもらえるよ!
◆なるほどね…。お!!何かかかった!ちょっと貸してごらん!…よっと!釣れたよー!それじゃあ優しさの証拠として、この4時間座ってやっと釣れた夕飯の魚を君にあげよう!
◯ほんと!?ありがとう!!
---4秒くらい間を空ける---
△おや?珍しい。旅人さんかね。
◆はい。こんにちは。
△こんにちは。そんなに一心に海を見てると、碧の君に魅入られてしまうよ。
◆碧の君?
△知らないのかい?この町では昔からの言い伝えでね。月がエメラルド色に変わる時、海に居る者を自分の森に誘い、着いて行った者は2度と帰って来られなくなるんだそうだ。
◆悪魔とか神様とか、そういう類いのお話ですか?
△いやいや。碧の君ってのはとても美しい魔女と言われているよ。その美しい姿と声に、男も女も子供も年寄りも、みーんな心を奪われて着いて行ってしまうんだとか。
◆そんなに綺麗な人なら、是非一度逢ってみたいなぁ。
△やめておきなよ。なんでも碧の君が住む森に着いて行ってしまうと、呪いをかけられて永遠に出られなくなってしまうらしい。魂になってもな。
◆呪い?じゃあその森にはさぞやたくさんの魂がいるんでしょうね。
△どうだかなぁ。私も未だに普通の月しか見たことが無いからなぁ…ははは。家族も居るし、誘われてしまったら困ってしまうな。
◆じゃあなんの責任も背負ってない旅人なら、誘われても問題無さそうですね。
△…あまりオススメはしないがね。海風は身体に障るから、もし泊まるところが要るならうちに来たらどうだい?旅の話なんかをしてくれれば宿賃は気にしなくていいよ。
◆それは有難い。そろそろ探さないとと思ってたんです。お言葉に甘えようかな。
---4秒くらい間を空ける---
◆すみません。碧の君というお話を聞いて来たんですけど…。
▲あら、観光?
◆まぁそんなようなとこです。
▲碧の君は聖なる使いとも呼ばれていて、この国にとっては昔から護り神のような存在ね。
◆そうなんですか?以前、魔女って話を聞いたんですけど…それもとびっきり美人の。
▲魔女だなんてとんでもない!!碧の君は呼び名の通り美しい翠玉色(すいぎょくいろ)の森に住んでいらして、災い事が降りかかる時には月を通して護りに来てくださるのよ。
◆そんなんですか。使いということは、もっと偉い人がその森を統べてるのでしょうか。
▲えぇ。碧の君の父に当たるお方がこの世界をお創りになった神様で、碧の君、黒の君、朱(あか)の君と、子を3人お作りになり、それぞれにこの世界を分け与えて護らせているの。
◆へぇー。それは知りませんでした。勉強不足ですみません。
▲いいのよ。旅をしてるとこういうお話は地域によっても全然違うでしょうし、国によっても違うでしょう?
◆そうですね。
▲でもね、碧の君はその3人の息子の中でも取り分け慈悲深くいらっしゃって、親の無い子や病気で長くない人なんかを自分の元へお連れになって面倒を見てくださるんだそうよ。
◆そうなんですか!?じゃあそういう人たちは元気になって戻って来たり?
▲それがね。森に行って戻ってきた人は1人も居ないの。
◆じゃあみんな居なくなってそれっきり…?
▲えぇ……。実は半年前に介護をしていた病気の義母が突然居なくなってね…みんなで方々(ほうぼう)を探したのだけど…見つかったのは砂浜に落ちていた履き物だけ…。きっと碧の君が哀れに思って連れて行ってくださったんだわ…。
◆そうなんですか…大変でしたね…心配じゃありませんか?
▲とんでもない!碧の君の元へ行けてきっと義母も喜んでいるわ!本当にお世話が大変で…きっと義母も苦しかったと思うの。でも今は苦しみから解放されてると思うと、私も幸せよ。
◆それは…なんて言っていいか…お疲れ様でした。
▲有難う。それじゃ私はもう行くわね。彼を待たせているから。
◆…時間を取らせてしまってすみません。お楽しみくださいませ。
---4秒くらい間を空ける---
◆同じ場所でも時代が違えば、同じ「目に見えぬモノ」でも全く違う「お話」になる。命に迷う者が、目に見えぬそれを都合の良いように造り変えてゆく。目に見えぬモノ達はすぐそばに在るのに、己の創った世界の中でしか生きていない者達は、その存在に気づかない。自らを神として、他のモノは寄せ付けない。受け入れない。私は此の世(このよ)と彼の世(かのよ)の間の美しい森で、終わりが来るまでそれを見届ける。永遠に。……もしあなたが命に迷い、碧の君を探す時、私はそばで水音を立たせてその存在を知らせるでしょう。その時は、どんな「私の話」になっているのか、聞かせてくださいね。
時間は目安です。
※スマラカタ→エスメラルド→エメラルド(翠玉、緑玉)
以前投稿した
の掛け合いバージョンです。
ずっと書きたかったこのお話。ちょっと掘り下げてみました。
あなたの元に、碧の君がやってくる時は、どんなことに迷っているのでしょうね…。
感想や使ったよ!など、コメントもお待ちしております♪