掛け合い「星になった物語」1章第2話(15~20分)複数人用


ルール

・一人称、語尾変OK

・使用の際には下にコメントを残していただき、使用先で

「(台本のタイトル)」 

「まつかほの台本」(もしくは「作者まつかほ」)を明記してください。

このホームページのURLも併記してくださると嬉しいです。

・コメント欄に使用場所のリンク等を貼ってくださると僕も聞きに行けるので助かります!

・BGMはご自由につけていただいて構いませんが、BGM作者様がいる場合には許可を取ってからつけてください。

・読めない漢字はご自分でお調べください。

 ・本文のコピペは禁止しております。どうしても必要な場合はお問い合わせください。

・詳しくは台本使用に関する注意事項をお読みください。

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星座にまつわる神話を触れやすいひとつのシリーズに改編してお送りする、「星になった物語シリーズ」第1章。

 

第2話では、ミノタウロスと英雄テセウスが激しいバトルを繰り広げます。

僕はミノタウロス好きです。自分で書いててキュンってしました。

熱いバトルをお楽しみください。

感想や好きなキャラ、星座のリクエストなどもぜひコメント欄で教えてください♪

 

N:ナレーター。男女不問。兼役可。

アイゲウス王:壮年~老年声の男性。

テセウス:青年声。(青年声を出せるなら女性でも可)

ミノス王:壮年~老年声の男性。

アリアドネ:若い声の女性。

ミノタウロス:男性。

船員:男女年齢不問。兼役可。


 

N

「星になった物語、第2話へようこそ。今回は英雄と怪物の激しい戦いのお話となっております。春から夏にかけてよく見える、2等星を中央に持つ小さなかんむり座を語る上で欠かせないお話です。ちなみに、かんむり座の2等星はゲンマとも呼ばれ、宝石という意味を持っているそうです。夜空に輝く星のティアラを身につけた美女は一体誰なのか。ハラハラドキドキのお話をお楽しみください。」

 

アイゲウス王

「テセウス、考え直してはくれぬか。」

 

テセウス

「父上、私はこれ以上大事な民(たみ)が怪物に食われるのを、黙って見ていることなどできません!!」

 

アイゲウス王

「それは私も同じだ。しかし相手はあのミノタウロス…牛と人間のハーフの怪物だぞ。クレタ島の腕の立つ戦士達がまるで子供のように食われたとミノス王も言っていたではないか。」

 

テセウス
「大丈夫です。私はあのヘラクレス殿と切磋琢磨してきたのです。ミノタウロスなど、恐るるに足りません!」

アイゲウス王
「…そうだな…何を言ってももうお前の覚悟は崩れぬな…お前にゼウス様のご加護がありますように…。」

N
こうして、クレタ島に到着したアイゲウス王はミノタウロスの生け贄になる14人の若い男女を、クレタ島の王、ミノスの元へ連れて行きました。生け贄に変装させた1人息子を忍ばせて…。

ミノス王
「今年も若くて美しい生け贄を揃えてきたな?」

アイゲウス王
「はい。連れて参りました。」

 

ミノス王
「よろしい。そろそろミノタウロスが腹を空かせて暴れ出してしまう。そうなる前に地下へ連れて行くのだ。」

アイゲウス王
「ミノス王様。ミノタウロスを倒すことは不可能なのですか?私の国では生け贄として捧げられる若い男女も減りつつあります。」

ミノス王
「あれは戦いで使う為に王妃と牛との間に作らせたが、とんでもない怪物になってしまった。頭は牛、体は人間、1度暴れれば1000人が武器を持って挑んでも敵わない。だから我が王宮の地下、ダイダロスが作った大迷宮に閉じ込めたのだ。それでも腹が減れば暴れて何をするかわからない。植民地である国から生け贄を捧げるのは当然であろう。それがお前たちの役目だ。これ以上反論するのであればすぐにでもお前たちの国を潰しに行くぞ!」

 

アイゲウス王
「も、申し訳ありません。すぐに連れて行きます…。」

アリアドネ
「お父様!」

ミノス王
「アリアドネ!来てはならんと言ったであろう!」

アリアドネ
「お父様。どうしても私も大迷宮を一目見てみたいのです。お願い、中には入らないからついて行かせて!」

ミノス王
「困ったじゃじゃ馬娘だ…。」

アリアドネ
「あら?アイゲウス王様?こちらの方は名前をなんて言いますの?」


アイゲウス王
「こ、この者は…テ…テオドロスと申します…。」

アリアドネ
「へぇ…そうなの。とても美しい青年ね。ふふ。気に入りましたわ。」

ミノス王
「アリアドネ!いい加減にするんだ!そやつは生け贄。お前にはもっと相応しい男がいるだろう!」

アリアドネ
「大きな声を出さないで、お父様。気に入っただけよ。行くなら少しでも強そうな人と一緒に行かないと、お父様も不安でしょ?」

ミノス王
「全く…どうしてこう育ってしまったのか…」

アリアドネ
「さ!行きましょ!早く大迷宮を見てみたいわ!」


アイゲウス王
「お連れしてもよろしいので?」

ミノス王
「ええい構わん!一度言い出したら聞かんからな。その代わり、必ず連れて帰って来るのだぞ!」

アイゲウス王
「もちろんでございます…。」

〜4秒くらい間を空ける〜

アリアドネ
「ねぇ。まだ着きませんの?」

アイゲウス王
「アリアドネ様。もう少しで到着いたします。」

アリアドネ
「ふぅん。…ねぇ、テオドロス様?」


テセウス(テオドロス)
「ど、どうしました。急に小声で。」

アリアドネ
「あなた、アイゲウス王様の息子の、テセウス様でしょ?」

テセウス
「なっ!!」

アリアドネ
「しっ!大きい声を出さないで。私、あなたに一度会ったことがありますの。その時からずっとお慕いしておりましたからすぐにわかりましたわ。でもなぜ生け贄の振りなんか?」

テセウス
「…ミノタウロスを倒しにやって参りました。」

アリアドネ
「まぁ!なんてたくましいお方なの!ねぇ、もしミノタウロスを倒して戻って来られたら、私と結婚してくださらない?」

 

テセウス
「何をおっしゃる!ミノス王に知られたら」

アリアドネ(遮るように)
「ミノタウロスを倒したら、きっとお父様もお喜びになるわ。そうしたら褒美をくださる。その時に、私をアテネへ連れ帰りたいと言ってくださらない?お父様は私のことを疎ましく思ってるでしょうし、喜んでokしてくださるわ。」

テセウス
「しかし…ミノタウロスを倒せても、迷宮から出られるかどうか…」

アリアドネ
「それなら任せて。この毛糸玉の先を入り口に括り(くくり)付けて持って行くの。そうすれば、帰りはそれを辿って来ればいいのよ。」

 

テセウス
「なんて賢いお人だ!あなたは美しいだけでなく、とても聡明であられる。わかりました。もし生きて戻って来られた暁(あかつき)には、あなたと結婚すると誓おう!」
 
アリアドネ
「嬉しい!きっと生きて帰っていらしてね!」

アイゲウス王
「アリアドネ様、着きました。ここが大迷宮の入り口になります。」

アリアドネ
「まぁ…なんて…なんて広大で美しい…こんな迷宮が、王宮の地下にあったなんて…」

テセウス
「父上、もし生きて帰って来たら、私はこのアリアドネ様と結婚します。」

アイゲウス王
「なんだって!?」


テセウス
「アリアドネ様はとても聡明なお人です。私が無事に迷宮を抜けて出て来られるよう、この毛糸玉を授けてくださいました。きっと、生きて帰って参ります。」

アイゲウス王
「そうか……その話は生きて戻ってからゆっくりとしよう…。」

テセウス
「まずは、私から行かせてください。他の者を目の前で犠牲になどしたくありませんから。」

アイゲウス王
「わかった。テセウス…どうか無事で…。」

アリアドネ
「どうかご無事で…。」

〜3秒くらい間を開ける〜

テセウス
「…くそ!また行き止まりか…。ミノタウロスがいるという中央の塔には、いつになったら着けるのか…毛糸ももう少ないというのに…。」


ミノタウロス
「うおぉぉぁぁぁ!!!」(何かしら叫んでください)

テセウス
「な、なんだ!?それにこの地響きは!!?なっ!ぐ、ぐわぁぁぁ!」

ミノタウロス
「やっと1人見つけたぞ!!」

テセウス
「腹が減ってそちらから出向いてくれるとは好都合!」

ミノタウロス
「なんだ!?俺を殺そうってぇのか!ガハハハ!!面白い!退屈しのぎに八つ裂きにしてやるわ!丸腰のお前に俺がやれるとでも思っているのか!!」

テセウス
「どうかな!?やってみなきゃわかんない、ぜっ!!」

ミノタウロス
「なに!?どこ行った!」

テセウス
「こっちだよ!図体がデカ過ぎて俺について来られないみたいだなぁ!牛さんよぉ!」

ミノタウロス
「ぐ、ぐわぁぁ!」
 
 ~3秒くらい間を空ける~
 
アリアドネ
「きゃぁ!!」

アイゲウス王
「大丈夫ですか!アリアドネ様!」

アリアドネ
「え、えぇ!今の地響きは一体…。」
 

アイゲウス王
「テセウスとミノタウロスが戦い始めたのでしょう…。あそこに土煙が上がっております!」

アリアドネ
「あぁ…!どうか…ゼウス様…テセウス様をお守りください…どうか…!」
 
 ~2秒くらい間を空ける~
 
ミノタウロス
「ぐぅぅ…。おのれ…小僧め…!」

テセウス
「これならヘラクレス殿と一戦交えてる方がまだ手応えがあるな!腹が減って力が出ないのか?」

ミノタウロス
「調子に乗るなよ…小僧…!!形が残ってる方が食べ応えがあると思って手加減していたが、もう容赦はしねぇ!!」

 

テセウス
「何!?な!?ぐわぁ!!」

ミノタウロス
「今更命乞いしても遅いからな!粉々にしてやる!!」

テセウス
「ぐあっ!…は、早い…!手足が蹄に…!!くそ!変身できるのか!」


ミノタウロス
「ガハハハ!驚いたか!上の奴らでさえこのことは知らないからな!俺はここに閉じ込められてからずっと!復讐することだけを考えて生きてきた!!お前らを食った後にそのまま上へ行って皆殺しにしてやる!!」

テセウス
「くっ…!!そうはいくか!」

ミノタウロス
「こうなった俺に速さも威力も勝てる人間はいない!!」


テセウス
「ふん!どうかな?やってみなきゃわかんないぜ?仔牛ちゃん!」

ミノタウロス
「どこまでも馬鹿にしよって!!貴様の頭噛み砕いてやる!!!」

テセウス
「目が血走って大事なことを見逃してるぜ!!」

ミノタウロス
「何!?ぐあ!?」

テセウス
「お前がいくら大男だろうと、所詮は人と牛のハーフ。四足歩行になってくれたんなら逆に好都合だな!背中に飛び乗って頭を捕まえることなんて俺には容易いことだ!お前には迷宮の壁が邪魔だろうがな!」

ミノタウロス
「おのれぇ!壁ごと叩き潰してやる!!」

 

テセウス
「な!?ぐ、こいつ…ぐわぁ!」

ミノタウロス
「ふん!他愛もない!!踏み潰してくれるわ!!」

テセウス
「ぐっ…!そんな大きな動きで当たるかよ!…はぁ…はぁ…流石にきついな…次で動きを止めないと…」

ミノタウロス
「ガハハハ!!息が上がっているようだな人間!!所詮はただの人間に…俺を殺せるわけがないのだぁ!!!」

テセウス
「な、なんだ…もしかしてこいつ…くそ…どうしたら…は!そうか…!!」

ミノタウロス
「どうした!さっきまでの威勢はどこに行った!?逃げ回るばかりじゃないか!大人しく俺に踏み潰されてろ!!!」

 

テセウス
「くっ…ハハ、踏み潰されるもんか!さぁこっちだ!!」

ミノタウロス
「ぐうぅちょこまかと、逃げられると思うなよ!!」

テセウス
「…これでよし!…こっちだ!来い!!!」

ミノタウロス
「ガハハハ!!とうとう諦めたか!このまま押しつぶしてやる!!」

テセウス
「どりゃぁぁ!!」

ミノタウロス
「なに!?いつの間に!!ぐあぁぁ!!!!」

 

テセウス
「はっ!図体がデカいと足元が見えなくなるなぁ牛さんよぉ!アリアドネ様から頂いた毛糸の残りを行き止まりになってる壁の端と端に繋ぎ、お前が来たタイミングで引っ張って足を引っ掛ける。お前は勢いを殺せず壁に頭から突っ込むって寸法よぉ!」

ミノタウロス
「ぐ…くそ…」

テセウス
「頭をしこたま打ったらさすがのお前でもすぐには動けないだろうと思ったのよ!アリアドネ様に感謝だな。」

ミノタウロス
「く…さっさと殺せ…俺ぁもう…」

テセウス
「…あぁ、終わらせてやるよ。もう疲れただろう。」

ミノタウロス
「…ふん…人間が知ったような口…ききやがって……」

 

~4秒くらい間を空ける~
 
アリアドネ
「テセウス様!!!ご無事だったのですね!!」

テセウス
「はい!アリアドネ様から頂いた毛糸のお陰で、ミノタウロスを倒すことができました。ありがとうございます。」

アイゲウス王
「おぉテセウス!!よくやった!本当によくやった!これで民(たみ)は救われた!!」

テセウス
「早く上へ戻りましょう。アリアドネ様、私と一緒に、アテネへ来てくださいますね?」

アリアドネ
「もちろんです!どこまでもご一緒いたします!!」

〜4秒くらい間を空ける〜

 

ミノス王
「なんと!!?では先程の大地響き(おおじひびき)は…!」

テセウス
「はい。私めがミノタウロスと戦い、勝利したのです。」

ミノス王
「なんということだ。まさかあれを倒せる者がいようとは…。この感謝はいくらしてもしきれん。好きな褒美をやろう!」

 

テセウス
「では、2つほど頂きたいものがございます。」

ミノス王
「うむ。なんなりと言ってみよ。」

テセウス
「ひとつは約束です。私の国を植民地としてではなく、友好国として今後はお付き合いしていただきたい。」

ミノス王
「もちろんだ。今までの非礼を改め、友として、国と国として、交友を深めよう。」

テセウス
「ありがとうございます。そしてもうひとつは…アリアドネ様を私の妻としてアテネに連れて帰らせてください。」

ミノス王
「なんだと!?本気か!?」

 

テセウス
「本気でございます。アリアドネ様がいなかったら、私はこうして生きてここにはいません。私はアリアドネ様を愛しております。」

アリアドネ
「お父様お願いします!私もテセウス様を愛しております!」

ミノス王
「うぅむ…わかった。アリアドネ、我が王族の恥とならぬよう、努めなさい。」

アイゲウス王
「ミノス王様、賢さと優雅さを備えた王はあなたの他におりますまい。さっそく、国へ帰って結婚の儀の準備をせねば。」

ミノス王
「まぁそう焦って帰らんでもよかろう。今日はテセウス殿もお疲れだ。一晩泊まって行きなさい。お礼の晩餐会を開こう。」

 

アイゲウス王
「お心遣い感謝いたします。ではお言葉に甘えて一晩休ませていただきます。」

ミノス王
「遠慮するでない!アテネと我が国はこれより友好条約を結ぶ!生け贄として連れて来られたこの者たちも、国賓(こくひん)としてもてなすのだ!」

N
ミノタウロスを倒したテセウスは英雄としてクレタ島の人々に迎え入れられ、アテネへ帰る次の日には、港にたくさんの人々が集まりました。
アリアドネも英雄を助けた賢い王女としてアテネの船へ迎え入れられ、テセウスと仲睦まじく、国までの船旅を楽しんでいました。
しかし、船旅を始めて2日目のことです。

テセウス
「アリアドネ、気分が悪いのかい?」

 

アリアドネ
「テセウス様。申し訳ありません。このようなはしたない姿をお許しください…。」

テセウス
「はしたなくなどないよ。慣れない船旅で身体を壊したのでしょう。近くの島へ行って少し休むことにしようか。」

アリアドネ
「お優しいテセウス様。お心遣い感謝いたします。」

テセウス
「ここからならワインで有名なディオニュソス様の島がすぐだから、もう少しの辛抱だよ。もう島に船を寄せるように言いつけてあるから。」

〜4秒くらい間を空ける〜

テセウス
「さぁ、着いた。外へ出て、一晩陸で休めば治るでしょう。」

 

アリアドネ
「…テセウス様、どうしてもこの島でなければなりませんか?」

テセウス
「どうしたんだい?君らしくもない。」

アリアドネ
「何か嫌な予感がいたします…。私は大丈夫ですから、このまま先を急ぎましょう?」

テセウス
「そんな真っ青な顔をして何を言うんだ。大丈夫だよ。きっと国を離れて心が滅入っているからそう思うんだ。さ、外へ出て新鮮な空気を吸おう。」

アリアドネ
「…はい。」

船員
「テセウス様。ディオニュソス様が、一晩王宮に泊まるようにとおっしゃっております。」


テセウス
「それは有難い。早急にお礼に伺わなければ。私は先に行くから、アリアドネを後から連れてきてくれ。」

船員
「かしこまりました。」

テセウス
「君はゆっくり街を眺めながら来るといい。それじゃあまた後で。」

アリアドネ
「わかりました。お気をつけて。」

テセウス
「あぁ。君もね!」

アリアドネ
「…行ってしまわれた…何か胸騒ぎ(むなさわぎが)致します…。何事も無ければ良いのですけど…。」

 

N

「嫌な予感がしたアリアドネですが、英雄としてもてはやされているテセウスには伝わりませんでした。場所はコップ座のディオニュソスの島に戻ります。第2話はここまでにしましょう。また第3話で、あなたをお待ちしております。」


時間は目安です。 

 

第3話では、結ばれたアリアドネとテセウスに暗雲が立ちこめます。

ディオニュソスも再び登場する、かんむり座の恋愛物語。あなたはどのキャラが好きですか?

 

1章第1話「コップ座」はこちら

1章第3話「かんむり座」はこちら