掛け合い「星になった物語」2章第1話(10分前後)複数人用

ルール

・一人称、語尾変OK

・使用の際には下にコメントを残していただき、使用先で

「(台本のタイトル)」 、「作者まつかほ」

を明記してください。

このホームページのURLも併記してくださると嬉しいです。

・コメント欄に使用場所のリンク等を貼ってくださると僕も聞きに行けるので助かります!

・BGMはご自由につけていただいて構いませんが、BGM作者様がいる場合には許可を取ってからつけてください。

・読めない漢字はご自分でお調べください。

 ・本文のコピペは禁止しております。どうしても必要な場合はお問い合わせください。

・詳しくは台本使用に関する注意事項をお読みください。

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 星座にまつわる神話を触れやすいひとつのシリーズに改編してお送りする、「星になった物語シリーズ」2章。

 

実際の神話とは違う部分もありますが、親しみやすくなるように改編してあります。ひとつの夢物語としてお楽しみください。

 

2章の始まりはからす座のお話。

からすの姿が今とは違った、というのを皆さんはご存知ですか?

 

 

星座のリクエストや感想など、ぜひコメント欄で教えてくださいね。

 

N:ナレーター。男女不問。

伝達からす:男女不問。

ゼウス:男性。

コロニス:女性。

ケイローン:男性。

*演じる際、それぞれの役は兼役可ですが、主要キャラは分けるとより楽しめるかと思います。

 

以下本文


N

「星になった物語、2章がいよいよ始まります。2章の第1話では早とちりのせいで神の怒りを買った可哀想なカラス座のお話を致しましょう。皆さんはカラスと聞くとどんなイメージを持ちますか?…黒い?…汚い?…怖い?そうですね、今のカラスはあまり良いイメージを持たれることはないかもしれませんね。しかし、元々は白く美しい身体と声を持ち、人語を話すゼウスの伝達鳥(でんたつどり)だったのです。そしてゼウスにとっては良き友人でもありました。そんなカラスが何故今の姿になったのか。皆さんの中にも、ドキッとする人がいるかもしれませんね」

 

〜3秒くらい間を空ける〜

 

 

ゼウス

「のぅカラスよ。最近地上の様子はどうだ?」

 

カラス

「ゼウス様とそのご子息達のおかげでとても平穏ですよ。何か気になることでもお有りですか?」

 

ゼウス

「うむ…お前には敵わんな。実は少し心配事がな…」

 

カラス

「全知全能の神であられるゼウス様に心配事とは、一体どうしたのですか?」

 

ゼウス

「いやな、コロニスのことなのだが…」

 

カラス

「コロニス様?」

 

ゼウス

「そうだ。どうも他に男がいるような気がしてな…」

 

カラス

「ゼウス様。お言葉ですが、美しい者を見るとすぐに自分のものにしてしまうゼウス様の奥様なのですから、少しくらい大目に見て差し上げても…」

 

ゼウス

「なんだと!?」

 

カラス

「いえなんでもありません!」

 

ゼウス

「カラスよ。お前は私の大事な友人だ。ゆえに多少のお喋りには目をつむってやっているが、過ぎたことを言うとお前でも容赦はせんぞ!」

 

カラス

「はいもちろん!重々承知しております。申し訳ありません!」

 

ゼウス

「して、コロニスの様子はどうだね?何か変わったことは無かったか?なかなか会えぬから間男を作ったとも…」

 

カラス

「さぁ…先日伺った時にはそのようなそぶりはございませんでしたが…今から行って様子を見てきましょうか?」

 

ゼウス

「そうしてくれ。コロニスには愛していると伝え、それとなく周りを探るのだ。そうだな、3日も居れば何かわかるだろう」

 

カラス

「承知致しました。何かわかりましたらすぐにお伝えに戻ります」

 

ゼウス

「頼んだぞ」

 

~4秒くらい間を空ける~

 

カラス

「コロニス様!」

 

コロニス

「まぁカラスさん!予定よりも早く来てくださったのですね。相変わらず白くて美しい羽ですね」

 

カラス

「有難うございます。ゼウス様が今すぐにあなたに「愛している」と伝えて来いと仰ったので、夜分ではありますがお伺い致しました」

 

コロニス

「あぁ嬉しい。ゼウス様にそんなに想って頂けて…」

 

カラス

「して、お身体の具合はいかがですか?」

 

コロニス

「おかげさまで順調よ。カラスさんは?」

 

カラス

「それが情けないことに、近頃あちこちに飛んだせいか体が重くて…」

 

コロニス

「まぁそれはいけないわ!ゼウス様ももう少し気を遣って差し上げれば良いのに。うちで少し休んでいかれてね。いろんなお話も聞きたいわ」

 

カラス

「有り難うございます。ではお言葉に甘えてしばらく居させてください」

 

コロニス

「もちろんよ!今日はもう遅いから、明日またお話ししましょう?おやすみなさい」

 

カラス

「はい。おやすみなさい」

 

~4秒くらい間を空ける~

 

コロニス

「まぁ!ではディオニュソス様はアリアドネ様とご結婚なさったのですか?」

 

カラス

「はい。先日盛大な婚姻の儀を執り行い、とても腕の良い竪琴の奏者も参加したとか」

 

コロニス

「それは素晴らしいわ!とても美しい式になったのでしょうね…この体でなければ私も行けたかもしれないのに」

 

カラス

「何を仰いますか!コロニス様は今ゼウス様のお子様を妊娠中なのです。お2人に何かあったらゼウス様がどれほど悲しむか…!」

 

コロニス

「ふふ、わかっていますよ。今はこの子を立派に育てることが私の楽しみなのですから」

 

カラス

「生まれるまでもうすぐですよ。そうしたらゼウス様も飛んでくるでしょうね」

 

コロニス

「本当は今すぐにでも来て頂きたいのに…」

 

カラス

「あ…失礼しました。コロニス様のお気持ちも考えず」

 

コロニス

「…いいのよ。わかっているから。あら、もうこんな時間。人と会う約束をしているの。ちょっと行ってくるわね」

 

カラス

「はい、お気をつけて」

 

N

「コロニスが部屋から出て行ったあと、カラスは窓から外へ行き、コロニスを探しました。しばらく飛ぶと庭園で男と親しげに話しているコロニスを見つけてカラスは大慌て。ゼウスの元へ飛んで帰り、見たことをそのまま話しました」

 

ゼウス

「なんだと!?コロニスが男と密会していただと!?」

 

カラス

「は、はい!それはもう親しげに。コロニス様はゼウス様がなかなかお見えにならないことを酷く寂しがっていましたので、もしかしたら寂しさ故に…」

 

ゼウス

「ぬぅぅ許せん!!!きっとその間男がコロニスをたぶらかしたのだ!!私の妻に手を出すなど言語道断!!!今すぐ行って打ち倒してくれる!!!」

 

カラス

「あ!ゼウス様!お待ちを!!」

 

 

N

「怒り狂ったゼウスはカラスの制止も聞かずにコロニスの住む家に行き間男を探します。すると物陰に人の気配がしたので、持っていた弓を構え、出てきたところにヒュッと矢を放ちました。見事に矢は身体を貫きましたが、なんとそれはコロニスだったのです。」

 

 

ゼウス

「なんてことだ!コロニス!コロニス!!」

 

コロニス

「ゼウスさま…なぜ…」

 

ゼウス

「お前が男と密会しているとカラスに聞いたのだ。間男を射るつもりだったのに、まさかお前とは…!!何故だ!何故他に男など!寂しいなら寂しいと」

 

(遮るように)

コロニス

「ちがいます…かれは…わたしの兄です…わたしのからだを、気づかって…うっ…ようすをみに…来てくれていたので…す…」

 

ゼウス

「なんだと!?コロニス!コロニスしっかりするんだ!!」

 

コロニス

「ゼウスさま…この子は、うまれたがっています…どうか、この子を…りっぱに……」

 

ゼウス

「…わかった…この子が立派に育つよう、良い育て手をつけよう…コロニス、すまない…」

 

コロニス

「これもまた、わたしのうんめい…愛しております、ゼウス、さま」

 

N

「子どもを立派に育ててほしいとゼウスに頼んだコロニスは、そのまま息を引き取りました。ゼウスはコロニスのお腹から赤子を取り出すとアスクレピオスと名付け、すぐに半人半馬のケンタウロス族の賢者ケイローンの元へ行き、養育を頼みました」

 

ゼウス

「ケイローン!ケイローンは居るか!!」

 

ケイローン

「ゼウス様!どうなさったのです!その赤子は!?」

 

ゼウス

「私とコロニスの子だ。訳あってお主にこの子の養育を頼みたい」

 

ケイローン

「まずは湯と乳ですね。おい!すぐに湯浴みの準備をせよ!それからニキを呼べ!先月ニキのところに子が生まれたであろう。食事と褒美を用意してこの子にも乳を与えるように頼むのだ!急げ!なんならこの家の部屋を与えても構わん!…ゼウス様、コロニス様はどうなさったのです」

 

ゼウス

「コロニスは…死んだ」

 

ケイローン

「なんてことだ…ゼウス様にもすぐに何か用意させましょう」

 

ゼウス

「いや、私にはまだやることがある。済んだらまた戻ってくる」

 

ケイローン

「わかりました。この子のことはご安心ください」

 

ゼウス

「頼む。太陽神アポロンとその妹である月の女神アルテミスから様々なことを教わり、賢者と呼ばれるようになったお主なら、安心して任せられる」

 

ケイローン

「この命に変えても。きっと立派に育ててみせます」

 

〜4秒くらい間を空ける〜

 

ゼウス

「カラス!カラスは居るか!!!」

 

カラス

「はいゼウス様。カラスめはここに」

 

ゼウス

「よくも確認せずに私に報告をしたな!!お前のせいでコロニスは死んだ!!!」

 

カラス

「なんですって!?どういうことですか!」

 

ゼウス

「お前が間男だと言ったのはコロニスの兄だったのだ!!お前の早とちりのせいでコロニスは死んだのだ!!」

 

カラス

「お、お、お許しくださいゼウス様!まさか、まさかゼウス様がすぐにコロニス様の元へお向かいになるとは思わなく」

 

(遮るように)

ゼウス

「言い訳をするな!!!お前のせいでコロニスは死んだのだ!お前が2度と早とちりで曖昧なことを喋らぬよう、お前から言葉と美しい声を奪ってやる!!」

 

カラス

「ゼウス様!どうかお許しを!おゆるっ…ぐっ…がはっ!…ガァァァ!ガァァァ!!」

 

ゼウス

「そして永遠にコロニスの喪に服すよう、その白い身体も黒に変える!お前の一族全員だ!お前らは永遠に黒く醜い姿として生きるのだ!!」

 

N

「こうしてカラスは輝く白い身体と美しい声を失い、また同じような悲劇を二度と起こさないよう、戒めとして天に星座が記されました。カラスのように思い込みが激しくて早とちりでお喋りな人は、ゼウスの怒りを買う前に直せるといいですね。さて、第2話では悲劇の出生を遂げたゼウスの息子、アスクレピオスの、悲劇に始まり悲劇に終わった一生をお話しいたします。それでは、第2話でお会いしましょう

 


 

 

時間は目安です。

 

 

実際の星座のお話とは異なるストーリーとなっております。

実際には、コロニスの夫はゼウスではなく、太陽神アポロンと語られています。

ここでは皆さんが知っているであろうゼウスの名前でお話を紡いでみました。

気になった方は是非神話を調べて夜空を見上げてみてくださいね。

 

1章第1話からお読みになる方はこちらから

 

星になった物語シリーズ(一覧)