朗読「泣いた赤鬼」~waiting for the rain~(90秒〜)


ルール

・一人称、語尾変OK

・使用の際には下にコメントを残していただき、使用先で「(台本のタイトル)」「まつかほの台本」(もしくは「作者まつかほ」)を明記してください。このホームページのURLも併記してくださると嬉しいです。

・使用場所のリンク等を貼ってくださると僕も聞きに行けるので助かります!

・BGMはご自由につけていただいて構いませんが、BGM作者様がいる場合には許可を取ってからつけてください。

 ・読めない漢字はご自分でお調べください。

・詳しくは台本使用に関する注意事項をお読みください。

 


 

 

「ごめん。あのね…」

 

私は、それだけをあなたに言うのが精一杯だった。

 

自分の気持ちを

自分の言葉で

誰かに伝えるのは本当に

 

怖い

 

たくさん聞いて欲しい言葉があるのに

全部噛み砕いてしまう。

 

誰かに話すなんて、そもそも間違ってるんじゃないか。

絶対迷惑。

私なんかの話、本当は聞きたくないよね。

 

卑屈な言葉ばかりが頭を堂々巡りして

時間だけが過ぎていく。

 

何も言えなくなって、

恐怖に震えだした私にあなたが言う。

 

「大丈夫。ちゃんと聞くから、話してごらん。」

 

私の心は過去に囚われる。

 

人の優しさはむごい。

人の善意は非情だ。

人の心は、ひるがえる。

 

私は誰かのことを

信用なんか

できない。もうきっと。

 

それなのに、誰かに吐き出したいと

心は自分を傷つける。

 

あなたが言った。

 

「大丈夫。諦めないで。ちゃんと聞くから。最後まで。」

 

私は

ダムが崩壊するように

泣いた。

 

「泣けるのは、頑張った証拠だね。」

 

私の背中をさするあなたの手は

あたたかかった。


時間は目安です